「江戸の声ー黒木文庫でみる音楽と演劇の世界」
 東大の駒場キャンパスを花見がてらにウロウロしてたら、駒場博物館で面白そうな展覧会をやってるのを発見。入場無料だし、まだ春休み中で静かだし、覗いてみたら、はたしてたいそう面白かった。
 「江戸の声ー黒木文庫でみる音楽と演劇の世界」と題した展覧会で、江戸から明治にかけての音曲の正本、稽古本などを集めた「黒木文庫」の一部を展示してある。
 歌舞伎や人形浄瑠璃、興味はあるものの実はまだ観たことがなくてよくは知らないモノ。この展覧会で、「あぁ、そうだったのね。」となんだか少しだけ物知りになった気分。(これ、気分だけで実際に物知りになれたわけではないので要注意なんだけど。)簡単簡潔に、18から19世紀に盛り上がり形成・洗練されていった日本の演劇(演芸?)について解説してくれていて、その「台本」というか「歌詞カード」というか「上演関連出版物」というか、その手の「和綴じの本」が並んでいる。
 この和綴じの本たちが、実にカッコいい。反応するトコが展示の本意とは微妙に違うとは思うが、この種の歴史に無知なので、目で見て分かることにしか反応できないし。
 筆&墨で書かれたモノを原稿として木版を彫って印刷している(要するに、版画の親戚だよね)ように見えるのだけど(何しろ正しい知識が無いから、見たものからの推測)、その書体(つまりは筆跡かな)といい、紙面のレイアウトといい、抜群。白い(何しろ古いし黄ばんでるんだけど)和紙の紙面に、黒々と太いエレメントの文字がびっちり並んでるかと思えば、繊細な細い線でまるで文様のように書かれた文字が並び、さらに空白の白地の部分の取り方が実に微妙な「イイ感じ」なのである。さらに、そこに役者絵というか舞台の名場面と思しき挿絵が、これまた絶妙の「密度」と「空白」で挿入されている。
 いやぁ、いいモノ見たなぁ。
 展示説明を読んでいて、こういう粋な出版物は大衆のためのモノだったという風に理解したのだけど正しいのかどうか。正しいとすれば、これらは大衆用娯楽出版物ということになる。現代の大衆用娯楽出版物に、こんな「粋でいなせな」雰囲気は無いよねぇ・・・と思うと、ちょっと哀しくもある。

 そうそう、展示の中に浮世絵(と言っていいのかどうか?)も何点かあって、その中のひとつ「お富与三郎」を描いたものにはかなりマイッタした。着流しにほっかむりの与三郎の姿のなんと粋なこと!さすがにタダモノではない。さらに、全体の構図といい色使いといい、しばらく身動きできないくらいハートわしづかみ状態になってしまった。
 「しがねえ恋の情けが仇、命の綱の切れたのを、どう取り留めてか木更津から~・・・」う~ん、しばらくマイブームになりそうな。
 ちなみに、この浮世絵、なにげに遠近法が使われてたし、人体描写のデッサンの正確さや人体寸法のプロポーションが何気に西洋的な感じがしたんだけど、描かれたのは明治になってからのようだしホントに若干西洋風なのかも知れない。
 
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by kaz-105 | 2006-03-30 13:46 | ぽよよんな日々 | Trackback | Comments(7)
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Commented by kaz-105 at 2006-03-30 15:08
 事務所に戻ってちょいと調べてみたら・・・・
 この錦絵(こう呼ぶ方が適切らしい。違いは知らない。笑)、月岡芳年さんのお作でした。あ、な~るほど、サスガですねぇ、スゴイですねぇと、妙に納得。
Commented by gin at 2006-03-30 23:45 x
月岡芳年はいいですよね。
この人の構図はかなり格好いいと思います。
「於富與三郎話」は、月に着流しが渋い。
Commented by kaz-105 at 2006-03-31 00:24
>ginさん
はじめまして。ようこそ。
「於富與三郎話」と正しく画題を表記されてるってことは、この絵をご存知の様子。ならば話は早い。芝居の状況描写・雰囲気描写をしっかりと表現する「小道具」を配した上で、なんとも粋な「間」のある構図はまさに絶妙ですね。それに、主要人物2人の対照的な着物の色柄、着こなし、立ち姿、いずれをとっても「あぁ、こういうのを粋でいなせと言ったわけね」と納得させられます。
それと、この2人の足。とくに与三郎の右足の表現。ずずいっとね。
Commented by Nachita at 2006-03-31 15:58 x
芳年ですか。
いいですねえ。月百姿とか。
かなり猟奇的ですけど。
とあるお店のオーナーがかなりの芳年好きで、昔、よう話をしました。
芳年は発狂して死んだらしい。
Commented by kaz-105 at 2006-03-31 19:11
>Nachitaさん
はじめまして。ようこそ。
そう、かなり猟奇的ですよねぇ、なんせ「血まみれ芳年」だし。
この与三郎さんの絵はそれと知らずに見たので、「猟奇性」の先入観なく接したためか、今まで気付かなかった芳年のすごさを教えてくれました。
「うまい」じゃなく「すごい」。なんもかんも全部知ってて見えてて分かってて描いてる感じ。向こう側まで見通してるってんでしょうか。
「発狂して死んだ」って逸話、オイラは知りませんでしたが、さもありなんと思わせる話ですねぇ。
Commented by Nachita at 2006-03-31 20:34 x
あ!いけない!申し遅れました。
わたしおたくの“長女”ですから~
わからなかった?
いきなり芳年でつっこんで来ちゃわかんないか。
唐紙のほうがよかった?笑
Commented by kaz-105 at 2006-04-01 01:07
「死んだと思ったおナツとはぁ、お釈迦さまでも気がつくめえぇ。。。」

あ、死んだとは思ってないから。
ちょっと与三郎はいいてるだけだし。


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