前エントリーに引き続き、イームズの椅子。
プライウッドによるダイニングチェア、DCW(Dining Chair Wood Legs, 1945)。イームズは、第二次世界大戦中に飛行機の座席や担架などの合板技術の分野に従事し、合板による二次曲面の実用化を行った。戦後、この技術が大きく花開いたのがこの椅子。ラウンジタイプのLCWとともに、大ヒットした商品。
このDCWやLCWに見られるような身体にフィットする曲面を持った成形合板による椅子、前エントリーのFRPシェル構造・スチールロッドの脚を持った椅子、さらにアルミ・ダイキャストのフレームによる椅子と、戦後直後から50年代を通じて着々と技術や経験を積み上げて、最も有名な代表作と言われる「ラウンジ・チェア」が誕生することになる。
ところで、アメリカでイームズ夫妻やサーリネンらが、新技術を駆使した「工業製品」として家具作りを模索していた頃に、ヨーロッパでも同じような取り組みがされていた。ハンス・ウェグナーの取り組みもそのひとつ。イームズのラウンジ・チェアの構造上の大きな特徴であるヘッドレスト、背、座を支える2本のフレームのアイデアは、実はウェグナーの作品から影響を受けたものであるらしい。(註:このネタ、「室内」94年3月号の「イラスト・椅子づくし/織田憲嗣」から拝借しました)
話をDCWに戻して、50年代後半に生産中止になったまま手に入らない時期が長く続いたDCWだが、90年になってリプロダクションを入手できるようになった。現在でも、入手可能。ただし、リプロダクションとオリジナルは、ディテールが微妙に異なるらしい。いずこの世界も、マニアが喜ぶ小ネタが詰まってるようだ。
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