人気ブログランキング | 話題のタグを見る
村野の家具
村野の家具_e0011321_20533889.jpg

 恩師の退職記念祝賀会は京都・都ホテルで行なわれた。村野籐吾の設計した建物である。
 ずいぶんと前に、都ホテルは経営母体が変わりウェスティン都となった。ために、相次ぐリニューアルとともに当初の雰囲気はどんどん少なくなり、良くも悪くも普通のホテルになりつつある。
 以前のエントリーでSASホテルのことを書いたが、オリジナルの部屋を遺すという点では共通するものの、全体の印象としては、オリジナルの雰囲気を大事にしたリニューアルで独自の魅力とステータスを保持しているSASに対して、単に高級感(むしろ高額感と言うべきか)としか言いようのない、いわば今時の月並みなグランドホテルに成り下がってしまいつつある都という気がする。
 高級とかステータスとかではなく、より直接的で分かりやすい高額感に向かうのは、昨今の市場動向では仕方ないのだろうとは分かるものの、いかにも貧しい気がして寂しさを感じる。

 写真は、村野が都ホテルのためにデザインしたサイドボード。ごくわずかではあるが、村野の手になるオリジナルの家具や当初の意匠を遺してリニューアルされた部屋もある。その部屋では、なんとも柔らかく優しい印象の家具にふれることができ、ほっと暖かい気持ちになれる。
by kaz-105 | 2007-05-12 20:53 | ぽよよんな日々


<< お気に入りのカフェ 禁断の果実 >>