カテゴリ:建築雑感( 38 )
魅惑の築地
 かねて行ってみたいと思いつつ実現できないでいたのだが、ちょっとした機会に恵まれて、ついに築地市場を散策することができた。
 期待通りの、魅惑に満ちた場所。
 豊洲への引越し計画が進んでいるのだけど、この「魅惑」までは持って行けないのだろうなと思うと、少し(かなり?)残念。
 後に残ったココはどうなるのだろうと考えると、さらに残念。
 機能拡充、物流効率化などなど、大事なコトだと認めた上で、同じように大事なコト、大事であるはずのコトも忘れないで欲しいなと願うのだけど、たぶん諸般の事情で難しいのだろうなぁ。
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by kaz-105 | 2014-01-26 13:37 | 建築雑感 | Trackback | Comments(0)
図面リストの作成を終えて
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 作業に着手してから何年が経ってしまったのかも定かではないほど長い時間がかかってしまいましたが、昨年末にやっと実作業を終了、出来上がったファイルの整理も終えて、昨日はささやかにそのお祝い。
 何の作業かというと、「宮脇檀建築研究室」に遺された膨大な建築図面の「原図」のリスト作成作業。
 出来上がったリストファイルを受け取りに来てくれた大先輩諸氏と宴席を囲んでおります。

 基本設計図、実施設計図などはもちろん、現場監理中の原寸図、検討途中の図面やスケッチ、はては会議中に会議資料の裏にちょちょいと落書きされたスケッチまで、宮脇檀建築研究室の図面庫に保存されていたおよそすべての紙資料。何しろ膨大な量なので、小分けにして事務所に運び込んで少しずつ作業を進めて来ました。終わってみれば、1万3千数百枚の「原図」でした。
 そのすべてに、1枚ずつIDナンバーを付して、その属性をリスト化しました。出来上がったファイルは、たかだか2Mbほどですが、とにかくこれで「全図面を俯瞰し、検索する手がかり」が出来上がったことになります。

 宮脇檀が亡くなってから15年も経ってしまいましたが、「遺されたモノ」を活かすための最初の1歩がやっと形になったかなと。もちろん、本番はこれから、なんですけどね。
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by kaz-105 | 2013-01-29 18:40 | 建築雑感 | Trackback | Comments(0)
年末メンテ
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e0011321_11335394.jpg 大掃除の一環ではあるので年末に相応しいメンテとは言えるものの、「よしず」ってぇのは夏のものなので入手にいささか手間取った。かつ、割高だったのかも知れない。
 中庭の目隠しにしている「よしず」を交換した。
 10年目にして2回目の新品交換なので、5年ごとに交換というペースである。
 取り外した「よしず」は、燃えるゴミとして出せるように細かく裁断して袋に詰め込む。大きいままでは持って行ってくれないし。昔なら、間違いなく「たき火」してしまうところ。乾燥しきって実によく燃えそうな風情で、薪ストーブでもあれば着火時に重宝しそうだ。藁のように燃えやすそうで、藁よりは多少火力もありそうだし。
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by kaz-105 | 2012-12-19 11:41 | 建築雑感 | Trackback | Comments(0)
照明って大事
 このところ身近に「引越しネタ」が多いんですが、世の中そういう時期なんでしょうか。

 本日も引越しネタでおます。
 友人が仕事がらみの引越しのため初東京生活を始めるにあたり、住まい探しから協力させていただいたんですが、本日「最終段階」ともいえる作業を実施。ちょいと思わぬ事態も発覚しましたが、ほぼ無事に終了と。
 ナニをしたかというと、「ペンダントライトの取付」でおます。

 午後の日差しもそこそこ傾き始めた頃に、「物件下見」から何度か訪れている友人宅に、工具をぶら下げてお邪魔しました。
 (蛇足1:「建築」と呼ぶのはともかくとして、「建物」とか「住宅」とか「土地」とかのことを「物件」と呼ぶ世界・業界って、一種独特のメンタリティが在るようで理解しにくい上に共感を持てないことが多いのは、気のせいでしょうか・・・)

e0011321_2201245.jpg 「作業現場」に入ると同時に迎えてくれたのは、何ともイイ感じにディスプレイされた出窓。
 引越しにあたっては「賃貸」の制限の中で可能な「気持ちよく住むためのアレコレ」について助言しまくったんですが、カーテン&ブラインド類もそのひとつ。ウッドブラインドがいい味を出してくれてるのに一安心。
 (蛇足2:住まい手であるご夫人のディスプレイセンスの名誉を守るために付記しておきますが、渋い食器の前に置かれた果物はオイラたちが持ち込んだものでして、オリジナルの状態ではそれらは無かったと。ま、果物アリも、悪くはないでしょ?ね?)
 (蛇足3:出窓の手前には、柿色のロールブラインドも設けてありまして、外光の表情をあれこれ楽しめるようになっております。)

 あれこれアドバイスした中で最も「大物」だったのが、収納家具。
 海外からの引越しだったせいか持ち込み家具に偏りがあった上に、見つかった「物件」の間取りに合わせた収納計画を検討した結果、リビング壁面に収納家具を新調するという結論に至り・・・しかし予算には限りがあるぞと。
 限られた予算で最大限の効果を期待したい時に頼りになるとすれば、アレです。賢く使えば実にユースフルなIKEA。
 (蛇足4:つまりは、賢く使わなければ&賢く使えなければ、ガッカリしてしまうのもIKEA、でもあります。)
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 現場を入念に実測し、置きたい家具だの物品だのも実測し、室全体のレイアウトを検討した上で購入すべき「組合せ」を見出しております。ま、下準備はソコソコ面倒ではありますが、解くべきプログラムが頭に入ってしまえば後は比較的簡明で「難しいプランニング」というわけではありません。とはいえ、IKEAスタッフとの相談やら確認やらは、やっぱ面倒だけど。購入だけでなく施工が絡むと特に。
 ピアノ&ビオラを置くスペースを確保し、インターホンだの電話だのの都合も考えた上で、かつ少しは「お飾り」を楽しむスペースも欲しい、てなことをクリアしつつ、最大限に収納容量は確保しましょう、とおいう組合せ。梁下やカーテンボックスをかわすのがポイントでしたと書けば、ご同業の方々には「あ、なぁるほどね」と納得いただけるであろう「こうするしか、ないよね」という組合せのひとつであります。
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 で、最後にちょっとした茶目っ気のような「処理」がしてありまして、それは引き出し類の「把手」。IKEA店頭では決めきれず、後から付けるのも難しくないし時間をかけてじっくり考えればイイじゃんと「住人の宿題」にしてあったのですが、把手ナシのまま引き出しにモノを詰め込んで重くなってしまっては「開けられなくなる」こと必至。とにかく何とかしとかなきゃと「養生テープ」をカットして付けてあります。取付施工の現場でのアドリブ。
 ところが、コレが思いのほかお気に入りになってしまって、今に至ると。
 意外にね、イイんですよ、コレが。「養生テープ」のままでも悪くはない。機能的には十二分だし。
 それらしいリボンなんぞを用意してきちんと位置決めして貼付けておくってのは、十分にアリだなと。

e0011321_3122664.jpg 機能的に十分であれば、その存在が感じられないに越したことはないのです。本来そういう性格のものって少なくないはずなのに、やたらと「存在を主張する」のが昨今の風潮でして、それをして「デザイン」だのと言ってしまうし、そうでなきゃ「商売」にならないとか考えるものだから、ろくなことにならないんですよね。「足るを知る」ってぇことを改めて思い起こしました。

 てな具合にこれまでのアドバイスの成果を確認しつつ、さっそく照明器具の取付作業に取りかかるかというと、さにあらず。
 まずは友人との遅い昼食を楽しみます。
 なにせ「業務」として来てるわけではありませんし。

 ・・・んんん、美味いし楽しい。。。
 ひとしきり楽しんだ後に、作業開始。サクっと終わらせてお茶でも飲んで・・・と思ってましたが、ここで予想だにしていなかった事態に直面。
 このリビングだけは入居にあたってクロスを新調しました。そのクロスのセレクトだの施工時の注意だのをアドバイスしていたにもかかわらず、うかつな、しかし重要な見落としがあったことが発覚。天井をね、ずっと「プラボ下地クロス仕上げ」だと思い込んでたんですよね。
 照明器具をぶら下げるヒートンを打とうと思ったら打てない。あれれ?これってプラボじゃなくてコンクリートじゃん。・・・直天でした。ダメじゃん。
 「正しい位置」には取付られないので今日のところは仮付けで済ませて、後日それなりの器具追加と相成りました。
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 思惑とは微妙に異なる位置にぶら下がっているため、ダイニングテーブルを「正しい位置」に置けてないんですが、今日のところの完成図。
 定番中の定番、PH5です。
 やっぱね、照明って大事。
 (蛇足5:この写真を撮った後でお茶タイムを楽しんだんですが、その時にどうしても気になって仕方なかったもんで、照明の高さを5cm下げました。ホントはもう10cm下げたかったんだけど、「日本の常識」を気にして少し遠慮。ちょっとしたことですが、印象ががらっと変わります。明るくしたいトコロだけが明るくなるように。これまた「足るを知る」の仲間かなぁと。)
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by kaz-105 | 2012-12-14 03:49 | 建築雑感 | Trackback | Comments(1)
床をどーん!
 「タイヤ」そのものは見慣れたモノと大差ないものの、こういう使い方をする機械ってのはそう見かけるものではなくて、実はオイラも直に見るのは初めてだったんですが・・・

 こういう機械を床にセットしまして・・・
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 床を「どぉーん!」とタイヤで叩く。
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 ナニをやってるかというと、「重量衝撃音の測定」というヤツです。
 こうやってタイヤで加振して「重量衝撃音」を発生させ、階下の住戸でどのくらい聞こえているのかを専用のマイクで測定します。「床」の防音性能を確かめようというもの。

 とあるマンションで、スケルトンリフォームに伴って床の防音性能が落ちてしまっている気がするのだがと相談を受けまして、関係各位のハナシをヒアリングしたところ、「感覚」でハナシをしても曖昧に過ぎるだろうし計測してみましょうということになり、JISで定められた方法に従って「重量衝撃音」と「軽量衝撃音」とを計測した次第。結果、単に「気がする」のではなく、「数値的に、悪化してるコトが判明」したと。
 「悪化してる」という事実が感覚ではなく数値で明らかになったのは歓迎すべきことなんですが、「改善する」ための対策はというとこれがなかなか難儀なハナシでして、「本題はこれからですね」と頭が痛いトコロではあります。
 というのも、このケース、元々スラブに直張りの床だったものを、スケルトンリフォームに伴い「浮き床」にしたところ、防音性能が著しく劣化してしまった、という事例なのです。が、採用されている「浮き床」のシステムそのものは防音性能の改善に配慮した製品でして、「良くなることを期待して採用してるのにまさか悪くなってしまうなんて・・・」という実に悩ましい状況。メーカーカタログを見ると、軽量衝撃音については改善するものの、重量衝撃音については悪化する部分もあることが確かに示されてはいます。ところが、今回のケースでは、軽量衝撃音も悪化してしまってまして、まさに意に反して踏んだり蹴ったりな状態。。。はてさて、どうしたもんか。

 にしても。
 今まで不勉強にしてマジに意識したことがなかったんですが、「浮き床」と「直張り床」の不思議な現実を前に、当事者の方々には申し訳なくも興味津々な気分です。「フローリング仕上げの浮き床」って、実に曲者ですね。さらに言うと、「浮き床」というものも、曲者ですね。ケースバイケースで、どう転ぶか分からないというか。マンションリフォームのお仕事をする時には。かなり注意しなきゃいけません。
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by kaz-105 | 2012-11-21 13:08 | 建築雑感 | Trackback | Comments(4)
「建築家」がいっぱい
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 人がたくさん集まること自体は珍しくなく日常茶飯事だけど、本日の集まったのは全員が建築家。建設業関係者とか、建築系業務に従事とかではなく、「建築家」ばかりが集まるというのは、我が家ではむしろ珍しい。
 集まったのは宮脇檀建築研究室のOB&OGたち。
 何をしているかというと、宮脇檀建築研究室の「図面原図」を整理し図面リストを作る作業。

 3年ほど前までコツコツと進めていたのだけど、中断してしまってすっかり止まったままだった作業を再開すべく、作業手順の再確認や新たな作業参加者への作業説明、そしていくつか実際に作業してみて練習しようという集まりである。
 60年代に描かれた古い図面から90年代末まで、何しろ膨大な枚数の図面が遺されている。1枚ずつ図面内容を確認しつつ、図面リストを作成していく。6、7割は終了しているので、あともう少し。機械的に作業が進めれば、あと1ヶ月もあれば完了しそうな雰囲気ではある。ところが、当時自らが担当した建物の図面が出て来るとあれこれと「話」が盛り上がる。大先輩が後輩(といっても、世間的には十二分に大ベテランなのだけど)に当時の状況を思い出しつつあれこれ語りかけるのは、宮脇檀の事務所が「事務所」ではなく「研究室」を名乗っていたことを納得するに十分で、まるで「学校」のような「教育的」な示唆に富んでいる。というような状況では、作業のみ進めるということになりにくく、従って作業効率はがくんと落ちる。
 もちろん、その「話」が実に興味深く楽しいので、作業を進めるのが半分、話を聞くのが半分となってしまうのは必定。費用の伴う業務ならそんな悠長なコトではマズイんだろうが、全くのボランティアで進める作業なので、むしろ望ましい状況とは言える。知的好奇心がムズムズと刺激される楽しい集まりである。

 それにしても。
 90年代ともなると頻繁に出現し始める「CAD図面」の味気なさと言ったら。トレペに手描きされた図面を読む楽しさに比べ、CAD図面は見るだけで読もうという意欲が湧きにくい。加えて、「青焼き」ではなく「コピー」や「出力」が一般化して以降、1枚の紙の上に載せられている情報がずいぶんと希薄になってしまった気がしてならない。と同時に、1枚当たりの情報量が薄くなったせいか、無意味に「枚数」が多くなる。
 この40年の間に、何が進み、何が衰え、何を得て、何を失ったのかというようなことも、あれこれと考えてしまう。
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by kaz-105 | 2009-05-23 17:26 | 建築雑感 | Trackback | Comments(3)
手すりのメンテ
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 もっと早くに手をつけようと思っていながら竣工後4年も経ってしまい遅くなってしまったが、本日やっと階段手すりの木製スノコのメンテナンスに着手。もともと防腐剤を含浸処理した材料を使用していたので、遅いとはいえ遅過ぎるわけではないのが救い。
 階段に取り付けてあるままでスノコ外側に防腐塗料を塗り重ねるには足場が必要となり「プロ」に頼まねばならぬ工事となってしまう。安価に自分でメンテナンスできるように、ボルトナットを緩めれば簡単に取り外せ、かつ独りでも運べる程度に分割できるように作ってある。
 まずは、下階の木製手すりを取り外す。スノコの無い状態の階段の姿を見るのは工事中以来だが、こんなにも印象が変わるものかとしばし感心してしまう。(写真左)
 外した「すのこ」は、タワシを使ってゴシゴシと水洗いして汚れや苔を取り除く。しかる後に乾かして、キシラデコールなる防腐塗料を塗る。刷毛で塗るなどという上品な手法ではなく、ゴム手袋をした上に軍手を2枚重ねにして、軍手そのもの(つまりは、手そのもの)を刷毛代わりにして塗り。塗料缶の中に手を突っ込んで軍手に塗料を浸し、その手でスノコをなでる、という案配。この方法の方が素人には簡単確実。(写真右上)
 塗料が乾いたら再び塗る。2回塗り。2回目の塗料が乾いたら、階段に運んで、外した時と逆の手順でボルトナットを用いて取り付け。これで作業終了。
 今日のところは、下階分だけを作業して終了。湿度低めの青空という最高に気分のいい天気は、塗料も早く乾いて抜群の作業日よりだったし、何より作業後のビールが最高に旨かった。
 ちなみに、のどを潤してくれたのは、先日友人が持参してくれた「世界のビール」の残り。(写真右下)

 残る上階分の作業が何日に出来るのか不明ではあるが、とにかく半分は終わって、その半分がどの程度の作業量なのかも分かったので、少し気は楽になった。多少の心配事と言えば、この木製スノコを取り外してしまうと横棒1本しか手すりが無い状態になてしまう階段は、えらく怖いということ。中2階の踊り場でも、脱着作業の際に背筋の寒さを無視できなかったので、さらに上の階となると始める前から背筋がむずがゆい。
 考えてみれば、外してしまえば手すり無しになるんだからそりゃ怖いでしょ、と当たり前なコトなのだが、高所があまり得意ではないくせに不覚にも設計時には露程も気にしてなかった。
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by kaz-105 | 2007-06-18 00:39 | 建築雑感 | Trackback | Comments(7)
無事完成 -セルフビルドで町家再生-
e0011321_17215040.jpg ずいぶんと以前にセルフビルドで町屋再生なんてエントリーをした。その後、外壁タイルを特注するなんて話も書いた。築80年にならんとする古い町家を入手した友人が、自らの手で工事を進めて、アトリエとお店に改装しようというプロジェクトである。かれこれ2年の月日を経て、コツコツと進められた工事が完成したとのこと。完成の知らせは1、2ヶ月前に受けていたのだが、行く機会が無かった。このGWの出張で京都に立ち寄る必要が発生したのをこれ幸いにお邪魔して来た。素晴らしい出来映え。感心しきり。
 実は、第一段階として1階のアトリエ&店部分がオープンした時にもお邪魔した。その時点での想像通りの素晴らしい出来映えに、着工時点からあれこれ相談に乗ってアドバイスしてきたことが間違ってはいなかったことと、それ以上に、素人のセルフビルドでは考えられない「計画」を後押し彼なら出来るハズと判断したことが間違いではなかったのに安心した。
 今春、2階のキッチン&リビングが出来上がり、これでほぼ全工程が完了。従って、今回の訪問は、出来上がったばかりの2階を見せてもらい、かつその2階に宿泊させてもらうのが目的だった。

 写真上は、2階から1階の店を見下ろしたところ。大胆に天井を落として小屋組を現しとしてあり、1階の店&アトリエは吹抜けを介して2階と一体となっている。今や常套的な断面構成だが、町家でやると小屋組が見えてひときわダイナミックな感じになる。
 そして、写真下が、今回完成したキッチン。シンクやコンロを単品で購入し、ワークカウンターそのものの「箱」はオーナー自身が自作した。収納のために引き出し類が備えてあるのだが、これも引き出し用レール金物を部品として購入して自作したもの。ワークトップはイタリア産のタイル。もちろん、タイルを張ったのはオーナー自身。周囲の壁のタイルもオーナー自身が張ったもの。
 納得のいく「部品」を使って、納得のいく形として全体を組上げてある。自分の身長に合わせたカウンタートップの高さ。収納したいモノ、収納の仕方に合わせて寸法を決めた引き出し類。配管スペースなども最小限に取り回して、可能な限りの大きさを収納に回しているので、既製品などよりたっぷりとした収納スペースが確保出来ている。いわゆるシステムキッチンにありがちな「各種お便利グッズ」を備えていないのが、極めてシンプルで使い心地が良さそうに見える。シンクは、ワークスペースを確保するために少し小ぶり。しかし、日本の既製品のようなペコペコの薄っぺらいシンクとは違って、どっしり分厚いステンレスを使ってあるので「音」が全く異なる。これは蛇口も同じ。しっかりどっしりした造りは何とも言えない使い心地を提供してくれる。コンロはというと、京都つまりは大阪ガスの営業エリアであるにもかかわらず、東京ガスが出しているモノをわざわざ取り寄せて使っている。これまた余計な装飾の無い、しっかりしたもの。オーナーと好みや考え方に共感する部分が多いのをいいことに、ほぼ全てにわたって自分の好みや考えを実現してもらったキッチンと言えなくはない。

 泊めてもらった夜、このキッチンを使ってオーナー自身が夕食をご馳走してくれた。オーナーのライフスタイルがしっかりと染み込んだ快適空間ですごす至福の夕食。「俺のキッチンが欲しかったんや。」というオーナーの手料理は、自作したキッチン同様に素晴らしい出来映えで極めて美味い。これから、間違いなく常連になってしまいそうである。

 ちなみに、お店の名前は「Bruce」という。手作りの筆入れ屋さんである。
 「People」という名の筆入れなのだが、これがまたすこぶる素晴らしい。単にモノとして面白いばかりでなく、あり方・コンセプトが素晴らしい。参考までに、ホームページはこちらである。
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by kaz-105 | 2007-05-02 19:04 | 建築雑感 | Trackback | Comments(0)
大谷資料館
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 東北自動車道・上り線・佐野サービスエリアまで「拾い物」をしに行くという野暮用のついでに、大谷資料館に行って来ました。学生時代に存在を知って以来、ずっと訪れてみたかった場所だったのですが、不覚にも今まで行ったことがなく初めての訪問。はたして期待を裏切らぬインパクトのある場所でした。
 詳しくは大谷資料館のHPをご覧頂くとして、一口に言うと「大谷石の採石場跡を資料館として公開しているモノ」なわけです。山肌に半ば露頭している大谷石を切り出す、つまりは普通に地面に穴を掘ることからスタートし、質の良い石材が採れる層を求めながら下へ下へ、はたまた横へ横へと石材を切り出しつつ掘り進めた結果、大谷石採石場というのは巨大な地下空間になったという次第のようです。
 左と中の写真は、地上に建つ資料館入口の建家から地下に向かう階段を下りて採石場の大空間に入ったスグの場所から見下ろしたモノ。携帯電話のおまけのカメラで撮るには暗過ぎてよく分からない写真ですが、どのくらい巨大かというと、後楽園ドームがほぼすっぽり入ってしまうとか。広さ(面積)だけでなく、高さ(容積)も大きいところがミソ。そもそも石材を切り出すためにくりぬいた穴なわけですから、この「空間」にもともとは石が詰まっていて(というか、山全体が石のかたまりだったわけですが)、この空間と同じ量(同じ容積)だけ石材が運び出されたということ。石材を得ることを目的として掘った穴なので、穴として残った空間は、まさに目的物が無くなってしまった「空虚」と言えます。床、壁、天井、6面全て大谷石で囲まれた「空虚」です。
 空虚を囲う大谷石の6面には、石材を切り出した作業の痕跡が残っています。資料によると、山の一部である岩肌から直方体状に石を切り出し、切り出した現場でその直方体をいくつかに分割、3尺×10寸×6寸程度の大きさに加工した後に運び出したとか。その直方体を切り出した痕跡で、壁面全てが縞模様に覆われています。その縞模様、よく見ると鋸の跡やらノミの跡やら「仕事」の跡で埋め尽くされています。圧倒的なボリュームの「労力の痕跡」なわけです。
 いったいどの位の労力によって為されたのか想像もできないくらいの労力を費やして、いったいどのくらいの質量なのか想像もできないくらいの石が運び出された跡の、それらが全て無くなってしまった空虚が目の前に広がっていると思うと、えも言われぬ「空虚の持つ迫力」にやられてしまいます。 工場で機械加工して作った石材の薄板を乾式工法でパタパタとぶら下げて構成した石仕上げの壁面に囲まれた再開発商業施設のアトリウムなどとは、同じ石の壁面の巨大空間とはいえ、根本的に違います。

 右の写真は、巨大空間の一部を教会堂として使用しているトコロ。
 ココを満たしていた石が膨大な労力とともに無くなってしまった「空虚」とはいえ、その痕跡から圧倒的なナニかを感じさせる「密実な空虚」ですから、ココを何かに使いたい、ココで何かをやってみたいと思うのは無理もないことでしょう。何しろ足を踏み入れた瞬間に、ヨーロッパで見た中世の教会堂にナニやら似た感触があるゾと思ったくらいですから、教会堂として活用していますというのも頷けます。教会堂として使うのなら、十字架はそうじゃなくてぇ・・・などと、演出の仕方に意見したくもなりましたが、かつてココを埋め尽くしていた労力、つまりは数多の「ヒト」のことを思うと、この場で祈るという行為の前には多少の演出の違いなど問題ではないなとも思った次第。

 ひとしきりやられたついでに、「大谷石」という半ば忘れかけられた素材も再認識。使いこなすのは難しそうですが、ぜひとも一度は使ってみたいと。どうにも、独自の質感を持った素材にやられてしまうようです。
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by kaz-105 | 2007-04-12 16:16 | 建築雑感 | Trackback | Comments(3)
バルセロナ・チェア
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 おもちゃシリーズの最後は、ルードヴィッヒ・ミース・ファン・デル・ローエ(Ludwig Mies van der Rohe、1886-1969)のバルセロナ・チェア。
 1929年に開催されたバルセロナ万博のドイツ館(バルセロナ・パビリオン)で展示されたもの。これまた多くを説明する必要の無い超メジャーな椅子。なので、解説的なことはWikipediaででも調べていただくとして省略して、個人的な感想だけ。
 今までに一番印象に残っているバルセロナ・チェアはというと、まずは70年代の後半、建築の勉強を始めたばかりの学生時代に講義の中で見たファンズワース邸のスライド写真に写っていたもの。つまりはこの椅子の姿を初めて見た時。まだ「バルセロナ・チェア」という名前さえ知らず、そもそも「椅子」なんてものが興味の対象となる以前。建築学科なんてものは考えるだけで手仕事をしない大工の出来損ないが居るところ位にしか考えてないまま何も知らずに進学していたので、その講義で見ることのできたモダニズム建築の数々はまさに目から鱗の経験で、中でもファンズワース邸とこの椅子にはすっかり心を奪われたものだった。
 要するに、見たことも聞いたこともないモノに驚き、かつ、なんだかステキに見えた。この感覚は、小学生の頃、田舎の町には国産乗用車ばかりでたまに見るビートルが唯一の「外車」というような状況で、創刊間もない「Car Styling」という雑誌ふと手にしてしまい、中に載っていた「ランボルギーニ・カウンタック」の写真やスケッチを見てしまった時の感覚に似ている。
 次に印象深いのは、やはり宮脇檀建築研究室のレセプションに置いてあったバルセロナ・チェア。学生時代に初めて接し、心奪われ憧れもしたが、やがてイロイロと知識を仕込むにつれて、アレもイイがコレもイイ、でもやっぱりソイツが最高だよなどどといっぱしの物言いをするようになる。しかし、所詮書物や映像、あるいはショールームや公共的空間で僅かに接しただけ、頭で考えただけの「実感」の伴わないものだった。ところがMM(宮脇門下は尊敬や愛情、万感を込めて宮脇檀をMMと呼ぶ)の所有するバルセロナ・チェアには「実感」が在った。日常的に使い込まれた生活実感が在った。
 かつての「建築」は、神か王、もしくは権力のために存在するものであって、一般的な「ヒト」のために在るものでは無かった。一般大衆のための建物が「建築」としての議論の対象となるのは近代以降のこと。20世紀に花開くモダニズム建築とは、神や王でなく一般的な「ヒト」のために建築する喜びを謳歌したものである、なんて言い方も出来なくはない。その「ヒト」の中に、自分たちも入っているのだということを改めて知らしめてくれたのが、MMの持つ椅子たちだった。
 自分を含めたごく普通のヒトたちのために、名品と言われる椅子たちは在るのであり、日々の仕事も在るのであるということを、雄弁に語ってくれたのが使い込まれて味わいを増したイームズであり、ウェグナーであり、バルセロナ・チェアであった。
 とまぁ、大衆のタメのモダニズム建築なんて大げさなコトを書きはしたが、実のところ、このバルセロナ・チェアという椅子はバルセロナ万博の時にスペイン国王アルフォンソ13世のために作られたモノなので、この椅子に座ってその良さを味わうべきは「王」であるべきなのだが。

 さて、このおもちゃはというと、クッションの下に張ってある革テープがちゃんと再現されていてイイ感じ。フラットバーのフレームが実物より多少太くなってるのは、モデル製作上の限界とモデル化する上で必須なデフォルメの双方によるものだろうし、そんなに気にはならない。本物は座のクッションの上に背のクッションが乗っかってるんだけど、おもちゃの方は背のクッションが座のフレームまで降りててちょっと実物と違うんだけど、そんなのは些細なこと。十分に「名作」の雰囲気を伝えてくれる。
 この「おもちゃ」が欲しい方は、レアック・ジャパンへどうぞ。
 オンラインショップもあるようですヨ。
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by kaz-105 | 2007-02-13 04:39 | 建築雑感 | Trackback | Comments(2)