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「建築家」がいっぱい
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 人がたくさん集まること自体は珍しくなく日常茶飯事だけど、本日の集まったのは全員が建築家。建設業関係者とか、建築系業務に従事とかではなく、「建築家」ばかりが集まるというのは、我が家ではむしろ珍しい。
 集まったのは宮脇檀建築研究室のOB&OGたち。
 何をしているかというと、宮脇檀建築研究室の「図面原図」を整理し図面リストを作る作業。

 3年ほど前までコツコツと進めていたのだけど、中断してしまってすっかり止まったままだった作業を再開すべく、作業手順の再確認や新たな作業参加者への作業説明、そしていくつか実際に作業してみて練習しようという集まりである。
 60年代に描かれた古い図面から90年代末まで、何しろ膨大な枚数の図面が遺されている。1枚ずつ図面内容を確認しつつ、図面リストを作成していく。6、7割は終了しているので、あともう少し。機械的に作業が進めれば、あと1ヶ月もあれば完了しそうな雰囲気ではある。ところが、当時自らが担当した建物の図面が出て来るとあれこれと「話」が盛り上がる。大先輩が後輩(といっても、世間的には十二分に大ベテランなのだけど)に当時の状況を思い出しつつあれこれ語りかけるのは、宮脇檀の事務所が「事務所」ではなく「研究室」を名乗っていたことを納得するに十分で、まるで「学校」のような「教育的」な示唆に富んでいる。というような状況では、作業のみ進めるということになりにくく、従って作業効率はがくんと落ちる。
 もちろん、その「話」が実に興味深く楽しいので、作業を進めるのが半分、話を聞くのが半分となってしまうのは必定。費用の伴う業務ならそんな悠長なコトではマズイんだろうが、全くのボランティアで進める作業なので、むしろ望ましい状況とは言える。知的好奇心がムズムズと刺激される楽しい集まりである。

 それにしても。
 90年代ともなると頻繁に出現し始める「CAD図面」の味気なさと言ったら。トレペに手描きされた図面を読む楽しさに比べ、CAD図面は見るだけで読もうという意欲が湧きにくい。加えて、「青焼き」ではなく「コピー」や「出力」が一般化して以降、1枚の紙の上に載せられている情報がずいぶんと希薄になってしまった気がしてならない。と同時に、1枚当たりの情報量が薄くなったせいか、無意味に「枚数」が多くなる。
 この40年の間に、何が進み、何が衰え、何を得て、何を失ったのかというようなことも、あれこれと考えてしまう。
by kaz-105 | 2009-05-23 17:26 | 建築雑感


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