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コルビジェ/グランコンフォート(LC2)
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 入手した椅子のおもちゃは全部で18脚(オットマンを1脚とカウントしてるから、17種)。順に紹介して来て残すところはあと4脚、超有名な名品ばかり。今回は、いよいよ登場といった感もあるコルビジェのソファー、グランコンフォート。
 ル・コルビジェやこのソファーについて云々するのは今更なので止めておきます。ネット検索すれば、嫌になるほどこのソファーを販売しているお店のサイトが並び、紹介記事を読むことが出来ますから。
 それにしても、ネット検索すると出て来るこのソファーを販売するネットショップの多さにびっくりしてしまいます。さらに、販売価格を見て再びびっくり。3万円前後で買える「LC2タイプ」と称したアヤシいものから、30数万するものまで、ほぼ10倍の価格差をもって、色々な「LC2」が並びます。カッシーナ社のみが「正規」復刻販売だった時代には30数万したわけですが、それが格段にお安く買えるようになったという「お買い得感」を売りにした商法に殺到しているのか、このソファー自体がそれほどまでに有名で人気があるのか、どちらなんでしょうか。
 LC2の発表は1928年。27年にシャルロット・ペリアンがアトリエに加わったことで、「機械時代にふさわしいデザイン」の家具がどんどんと具体化されていったとか。金属フレームに革張りクッションを詰め込んだこのソファーの構成は、発表当時にはびっくり仰天モノだったそうですが、今では珍しくもなんともない当たり前のもの。機械時代に向かって進む過程で、それにふさわしいデザインとして新提案された時にはもの珍しかったものが、すっかり機械時代になってしまった今を迎えて当たり前のものになったと考えれば、それこそ当たり前の展開なわけです。すっかり機械時代なのですから、もの珍しいモノを作るために必要だったコストも、当たり前のモノを作るのにふさわしい低コストとなってしかるべきで、百花繚乱のごとく安価なアヤシいモノが出回るのも、機械時代到来の必然と言えなくはないのですが、ビニールレザーのクッションだったり、金属フレームの工作の粗さや太さ長さの微妙なニュアンスが美しくなかったりというのを見つけてしまうと、「グランコンフォート(大いなる快適)」を実現しようとしたコルビジェの意図に反した物体に見えてきて、使うヒトまで「座る機械」にしてしまってるような気になってしまいます。

 ところで、このおもちゃ。クッションの背面、フレームに当たる部分に僅かな「くぼみ」がつけてあったりして、なかなか芸細であります。
 この「おもちゃ」が欲しい方は、レアック・ジャパンへどうぞ。
 オンラインショップもあるようですヨ。
by kaz-105 | 2007-02-12 18:40 | 建築雑感


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