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「普通の」タイル
「セルフビルドで町屋再生」レポート、その1です。

タイルのお話し。
アトリエ兼お店にしたいと思った友人は、町屋の正面の意匠についてじっくりゆっくり考えました。到達したのが「昭和初期の頃には町屋の並びの中に普通に在った散髪屋さん」という意匠。別に散髪屋さんを営もうというのではなく、お店というのは彼のデザインしたグッズを売る小売店なんですけどね。
(注:説明が遅くなりました。彼はプロダクトデザイナーさんで、自分でデザインした小物を自作して売っておられます。)
まぁ一口に言うと外装をタイル貼りにしようというわけです。
思い至ったら則電話が鳴ります。「ああでこうで、こんな感じにしたいんやけど、ええタイル、ないやろか」
応える言葉は・・・「ないよ」です。




彼の要望は、敢えて表現すれば「昔、普通に使ってた、普通のタイル」と言えるんですが・・・その「普通のタイル」というのが今では皆無に等しいんですよね。

大メーカーさんからは分厚いカタログに満載のそれはもう様々なタイルが製造販売されているんですが、どれも皆良く出来すぎているタイル。彼が望んでいるニュアンスを具現化したタイルではありません。
何が違うって、製造方法も製造姿勢も製造哲学も全く違ってしまっていますから。
端的なところでは、品質管理があまりに良いもんだからタイルがみんな全く同じなんですよ。微妙な「あばれ」が無いんですね。だから、ある面いっぱいにタイルを貼った時に、その壁面の印象が・・・よく言えばきれい、悪く言えば単調、無味・・ってことになります。
中には、わざと「ムラ」を出したような製品もあります。手作り感とか自然の風合いを求めて。けど、それも「しっかりと品質管理された上でのムラ」なもんで、やっぱねぇ、実物を前にすると違うんですよねぇ。。。。

こだわりの作家もの、1品づつ手作りです・・なんてものには、さすがに微妙なあばれがあって、そりゃぁ豊かな風合いってことになるんですが、今回の要望に照らし合わせると、それは「やりすぎ!」ということになります。

何しろ「普通のタイル」が要望なんだから。
安価に大量生産出来たが故に「普通」に使われたタイルなんだけど、それでもなお職人の手仕事の痕跡が意図に逆らって残ってしまっているようなもの・・とでも言えばいいんでしょうか。


ここで「お仕事」だったら「ずばりこれ!ではないにしろ、比較的イメージの近いものを見つけて・・」てなことになるんですが、それじゃぁ楽しくありません。
型から起こしてタイルを特注することにしました。
そういう面倒なことに、しかもリーズナブルな費用でつきあってくれるタイル屋さん、探せばあるんですよね。
昔ながらの製法が出来て(まぁ、昔の窯をまだ持っている小さなメーカーですね)、そういうところだから経験豊かな職人さんが居て、目も肥えていて、という願ったりかなったりなメーカーさんです。

彼はプロダクトデザイナーなんですから、在る意味「特注タイルの製作」というのは本業ずばりと言っていい作業です。粘土製のタイルの「原寸模型」を作って現場に置いて確認しつつ、メーカーさんと試作の段取りをしております。
「普通のタイル」をわざわざ特注するという不思議なプロジェクト、メーカーさんも最初は半信半疑で不思議そうでしたが、彼との打ち合わせが進むにつれて得心がいったようです。

「古民家に似合う普通のタイル製作プロジェクト」ただ今進行中です。
by kaz-105 | 2005-06-25 13:41 | 建築雑感


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