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ガレージで何をしますか?
自分の設計したガレージの写真が、でで~んと友人blogダメ押ししとこうか!?に掲載されてるのを見て、設計当時を懐かしみつつ、ガレージのつくり方についてちょっとメモ。

ごく単純に自家用車を置いておくだけのガレージであっても、出し入れし易いとか、荷物の積み下ろしが容易だとか、車がらみの留意点はもちろん、貴重な住宅敷地を少なからず占有してしまう「車庫スペース」を出来るだけ多用途に有効利用しようと考えるべきことは少なくないです。
ですから、「車が趣味」という場合には大真面目で緻密な検討をする必要が発生します。

その種の大真面目緻密検討を、思い切りざっくりと単純に説明すると、要するに「車庫(ガレージ)で何をしますか?」というコトを具体化していく作業なわけです。



ある種の作業(何らかの整備をするとか、洗車ワックスするとか)をするのであれば、その作業が快適容易に行えるように、広さや形、そして給排水や換気や電源、さらにはチェーンブロックやリフトの導入に備えた建物強度などを検討します。いわゆる「デザイン」なんてぇことも、もちろん含みます。
こうした検討というのは、それなりのノウハウの存在は否定できませんが、原則的には実に単純に「技術的解決」を求めうるモノでして、「作業の実態(使い方の実態)」がきちんと把握されていれば設計技術屋にとっては難しいものではありません。

例えば・・・・車庫内でエンジンをかける時に、単に出し入れのためにだけにしか回さないのでも、始動後すぐに動くのか、しばらく暖機してから動かしたいのか、あるいは、洗車してる間は回しっぱなしにしたいとか、エンジン調整のためある程度回転を上げて回したいとか、その種の実態に即して「換気量」を計算して車庫内換気扇の計画をまとめる・・・てな具合です。

難しいというか面倒というか、時間を要するのは、その「使い方の実態」をいかに予測するかということなんですよね。

多くのケースは「住宅新築に伴い、夢のガレージ実現!」なわけですから、まだ見ぬガレージライフを想像するしかないわけです。夢はどんどん膨らむものなので、あれもしたい、これもしたい、と要望はどんどん多岐複雑になっていきます。一方で、敷地と予算には限りがあり、そうは言っても無理じゃないかなぁとも思い、夢はしぼんだり大きくなったり、上がったり下がったり、大忙しです。

住宅設計(この話の場合ではガレージ設計ですが)の仕事における頭脳労働の半分は、この上がったり下がったりする「夢」を上手く調整してあげて、「ここらが最善の着地点」というあたりに導いてあげることなんですね。
で、残り半分は、最善の着地点に軟着陸した「夢」に具体的な形を与えて実現していくために、技術的ノウハウを駆使することと。

お気付きかと思いますが、後ろの半分は「技術屋の独断専行」でも何とかなるんですが、前半分は設計担当が独断専行しちゃぁダメ(そりゃそうだ。それじゃ設計者自身のためのガレージになっちまうし)で、あくまで施主自身が考えるのを専門化がお手伝いするというスタイルです。
ですから、使いやすい素敵な台所を設計するためには、主婦に負けないくらいに台所を使いこなせ、料理に関する知識常識を備えている「専門家」として相談に乗るように、ガレージについても、施主自身がまだ未経験の状況をもリアルに想像・予想できるような見識を備えて相談に乗ってあげる、もしくは未知のモノゴトについて施主と一緒にあれこれ調べて回るってな行為をやるわけです。

さて、長い話の最後の核心。
夢のガレージライフに向けて、日夜空想しておられる車趣味のご同行諸氏、「ガレージで何をしますか?」
この質問に明晰な答えが出せるなら、夢は技術的には実現したのも同じなのです。
が、しかし。既に実践してることならともかく、「やりたいこと・するつもりのこと」が「できること・すること」なのかどうか?広くて立派で機能的な台所が手に入っても、それだけで料理の質が上がるもんではないのと同じようなもんです。
やってること、やるつもりのこと、出来ればやりたいこと、やりたいけど出来ないこと・・・
自身もそうなのですが、こればっかりは確信を伴う「明晰な答え」なんてなかなか出ない。そうやっていろいろ空想することすら、趣味の醍醐味の一部ですからね。

ところで、
その「何か」をガレージでしている時に、家族の方々はどこでどうしてますか?
「孤高のガレージライフ」ならともかく「家族断絶のガレージライフ」になってませんか?
それとも「家族我慢のガレージライフ」になってませんか?

トラックバックさせていただいたMM1750GTVさんのガレージ、写真右手の壁に小窓が2つ開いてます。窓の向こうは奥様やお子さんが日常過ごしているファミリールーム(ダイニングキッチン)。音や排ガスに配慮した小窓で、閉ざすことも、覗くことも、開け放すことも出来るし、「コーヒー、ここに置いとくね。」とファミリールーム側からガレージにコーヒーカップをサーブできるような窓台も備えてます。
「ハウス(住宅)」が用意できるのはこの程度。ここから先、「ホーム(家庭)」や「ライフ(人生)」を形作るのはご家族自身で取り組むしかなく、それがまた楽しいのです。
by kaz-105 | 2005-09-17 21:47 | 建築雑感


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